神棚は、単に空いているスペースに安置すれば良いというわけではありません。
気持ちよく神様をお迎えできるように、いくつかの条件をクリアする必要があります。
安置する前に、建物のどの場所であれば毎日の拝礼やお供えをすることができるのか、どのような場所が神様にふさわしいのかを確認しておきましょう。
神棚の向きにも、適した方角があります。
階上に部屋がある場合にも、神様がいらっしゃる神棚の上を、人が歩き回る不敬を避けるための手段があります。
安置するのに適した場所は
まず、注意するのは、清浄で明るく、人が集まりやすい場所であるかという点です。
現在の住宅事情では、居間がこの条件を揃えています。
家族が全員揃って拝礼しやすく、お供えがしやすいので、神棚を安置することが多くなっています。
位置としては、西か北の壁面に目線よりも高い場所を選びましょう。
長押の上など部屋の上部に、棚を設けて安置します。
壁に釘などを使用したくない場合には、本棚のような家具の上に置いてもかまいません。
床の間に八足台や宮台を置いて、神棚を安置するケースも増えています。
また、押入れや天袋といったスペースを利用して、神棚用に改装することもあります。
階上にも部屋がある場合は、人が神棚の上を歩くことを避けるために、「雲」などの文字を貼るなどしてください。
別の空間として扱うためです。
場所の寸法は、「間口・奥行き・高さ」をしっかりと測っておきましょう。
寸法が合わず入らなくなるのは、残念なことです。
準備してもらった神棚や授けていただいた御神札は、すでに御祓がされてあるため、自分で神棚を設置しても問題ありません。
よりしっかりとしたお迎えを希望される方は、清めの御祓と、ご加護をいただくための祈願を神社に依頼すると良いでしょう。
安置するのに適した方角は
神棚の正面をどの方角に向けるのかも、神様を迎えるための大事な条件です。
最も良いのは東向きか南向きに準備することだと言われています。
この方角は、太陽の動きと関係して決められています。
東は、太陽が姿を表し力強く昇っていく方角となり、始まりのいきおいを象徴しています。
南は、太陽の光の恩恵を最もよく受けられる方角で、明るさの象徴でもあります。
昔から、位の高い者は南に向かって座る風習もあったことから、その方角の大切さがよく分かります。
日本各地の神社も、その土地に特別な謂れなどがない限り、東向きか南向きに建てられることが基本のようです。
しかし、神棚の設置を希望する建物が、必ずしも正確に東西南北に面しているとは限りません。
この場合は、南東や南南東に面して向けられるよう微調整すると良いでしょう。
避けた方が良い安置場所は
神棚を置くのに適した場所がある反面、避けた方が良いとされる場所もあります。
不浄を避けるために、トイレの反対に位置する場所や、階の真上にトイレがある位置には安置しないよう注意しましょう。
また、人が多く出入りする場所も良くないとされるので、ドアの上なども避けた方が良いでしょう。
仏壇を気にされる方もいらっしゃいますが、同じ部屋に神棚を安置しても大丈夫です。
ただし、向い合せにならない位置取りを選びましょう。
以上のような条件に注意して、安置場所を決めることができればベストです。
しかし、現在の住宅事情では、全ての条件を整えるのが難しい場合もあります。
その場合は家族が一番集まりやすい場所を中心に、ある程度条件が合致する場所を、気持ちを込めて選んでください。
誠心誠意、神様をお迎えするという気持ちを持つことが一番大事な条件だとも言えます。
マンションに神棚を安置するには
一戸建て以上にスペースが限定されるマンションでも、神棚を安置することはできます。
スペースの都合上、宮形を安置できないケースも多いので、コンパクトにお祀りできるモダン神棚を準備する人が増えてきています。
また、マンションの場合、最上階にいるのでない限り、階上に他の家族が住むことは確定しています。
神棚の上を人が歩く環境になってしまうため、「雲」の文字を準備すると良いでしょう。
神棚の上に貼ることで、階上の空間とは異なる場所であることにします。
何よりも大切なことは、どのような場所であっても、気持ちを込めてお迎えすることです。
引っ越しのときの神棚は
新居を構える、仕事の都合で移動するなど、神棚を安置した場所から引っ越すこともありますね。
新しい家に引っ越す場合は、神棚も新しくする方が良いでしょう。
賃貸マンションへの引っ越しなどであれば、今までの神棚も一緒にお移りいただくこともできます。
引っ越し先に場所を確保して、真っ先にお移りいただきましょう。
間違っても、安置場所がないからと床の上などに、そのまま置くようなことは避けてください。
お移りいただく際には、神社へ依頼するとより丁寧ですが、自分で行なうことも可能です。
ただし、最低限の注意事項として、引っ越しの旨を神棚にお伝えし拝礼するよう努めましょう。
神棚拝詞をご存知の方は、引越し後に奉上すると良いでしょう。
神棚を向ける方角とは まとめ
神様をお迎えするために、場所や方角などクリアしておきたい条件は多くあります。
しかし、一番大切な条件は、気持ちを込めてお祀りすることです。
できるだけ、心地よく過ごしていただけるよう心がけていきましょう。
神棚の祀り方について詳しくはこちら
>>神棚と仏壇を祀るには~対立しないよう注意が必要~