宮形は、一般的には神棚という名称で親しまれています。
正確に表現をすれば、御神札を納めるための入れ物で、お宮の形を模しているため、この名前がつきました。
しかし、なぜ宮形に神様をお祀りするという形をとるようになったのでしょうか。
古代日本には、日常生活の中に神棚の存在はありませんでした。
岩や山などを御神体としてお祀りしていただけだったのです。
いつ、何のために神棚は普及したのか?
神様をお迎えする意味とは何なのか?
宮形にまつわる疑問について、一つずつ確認していきたいと思います。
家庭で祀られる神棚の由来
家に神様をお迎えするために、祀られる神棚ですが、その存在が当たり前のものとなったのは江戸時代の中期になってからと言われています。
遥か昔の日本では、神様は常在するものとは考えられていなかったため、神棚を安置することはありませんでした。
神棚が普及したことによって、より私たちに身近な存在になったと考えられます。
そのきっかけとなったのが、伊勢神宮の御師(おし)の役割を担った人々です。
天照大御神様への信仰を広めるため、御神札を全国へ頒布(はんぷ)しながら伊勢神宮への参拝を勧める仕事をしていました。
ここで、御神札を家庭で祀るために考案された大神宮棚と呼ばれるものが、現在の神棚の由来となります。
やがて、御神札を家庭でお祀りする風習が庶民の間に定着し、今のような形へと変化したのです。
神様をお迎えすることの意味
神棚とは家を支えるものです。
神様をお迎えし、家を見守っていただくことに加えて、家族の繋がりを強める役割も果たします。
神様は、ただお迎えすれば良いものではありません。
日々のお供えや拝礼で、尊敬や感謝の気持ちをお伝えすることが大切なのです。
神様に願いをお届けするにしても、毎日のご挨拶などもなく、いきなり一方的に願うだけでは、気づいてもらえないのではないでしょうか。
家族の関係においても、同じことが言えると思います。
尊敬や感謝の念を忘れない家は、常に和やかな信頼関係に守られていることでしょう。
また、年中行事を家族で準備することは、それぞれの役割を自然と理解することにも繋がります。
恙無く役割を果たす姿を見せることで、和を大切にする姿を、子孫に伝えていくことにもなります。
宮形に神様をお迎えし、真摯に向き合うことは、家族の豊かな精神を築き上げるきっかけとなるのです。
御神札を納める宮形
神棚は、宮形だけを準備するだけでは完全ではありません。
神様の御分霊である御神札を納めることで、神様をお迎えすることができるのです。
地域によっては宮形を用いない場所もありますが、基本的には、より丁重にお祀りするためには必要なものです。
私たちを例にすると、家のない状態で放置されるようなものなので、準備しないことは失礼にあたります。
宮形の大きさは様々ですが、一般的には一社宮や三社宮といったタイプが多いでしょう。
それ以上のものは、建物のスペースが必要となるからです。
神棚の安置を考えている場所の寸法を考慮して、適切な大きさのものを選んでください。
マンションのように、スペースや内装のデザインとの調和が気になる場合は、モダン神棚と言われるタイプのものを探してみましょう。
洋風の部屋でも、違和感のないデザインの宮形が準備されています。
どのようなタイプを選ぶにしても、日々、感謝の気持ちをお伝えすることが大事です。
それぞれに出来る形で、準備するようにしましょう。
宮形に神様をお迎えする大切な意味 まとめ
宮形に神様をお迎えするということは、家庭の中において豊かな精神を育てることに繋がります。
決して、一方的に神様のご加護をいただくためだけではありません。
神棚を安置する場合は、家族全員が揃ってお参りしやすい場所にしておきましょう。
清浄であり、明るい場所であれば、なお良いでしょう。
しかし、どのような形でお祀りをするにしても、尊敬や感謝の念を伝えることを忘れてはいけません。