神棚に毎日お供えをする品は「米・塩・水」ですが、これに「酒」が加わる場合も多いようです。
なぜ、この四品がお供え物として選ばれるのでしょうか。
お供えは神饌(しんせん)とも言い、神様の食事として捧げるものなのですから、もう少し豪華な品が並んでも良いような気もします。
「米・酒・塩・水」が、お供えの基本として選ばれる理由を見てみましょう。
神饌は品目も順位も決まっている
神様に捧げる神饌は、いろいろあります。
祀ることができる品と、その順位についてまとめると、以下のようなものになります。
- 米
和稲(にごしね)とも言われます。洗米、炊いたご飯、粥などの形でも供えられます。 - 稲穂
荒稲(あらしね)とも呼ばれる、穂の状態のまま供えられた品です。 - 酒
一般的には日本酒を供えますが、「白酒(しろき)・黒酒(くろき)」といった専用の酒もあります。 - 餅
米が形を変えたものです。こちらも大切に捧げられてきました。 - 魚
尾頭付きの海魚や川魚を捧げます。貝の場合は、魚に次ぐ順位となります。 - 鳥
野鳥と水鳥の2種類に分かれます。昔は鳥そのもの捧げていましたが、現代では卵で代用されることもあります。 - 海菜
昆布やワカメなどです。乾物のスルメなどが、こちらに分類されることもあります。 - 野菜類
旬の野菜を供えますが、玉ねぎやニンニクなど匂いの強いものは避けられます。 - 果物類
こちらも旬の果物で良いようです。中でも橘は、神様と縁の深い果物です。 - 菓子
奈良時代に中国から伝わった唐菓子を神饌菓子として使うこともありますが、一般的なお菓子も供えられます。 - 塩
食塩よりも、海水からとれた天然の粗塩を捧げると良いとされています。 - 水
基本的に朝一番にとれた初水を使います。天然水の場合でも、水道水の場合でも同様です。
欠くことができない神饌は
神職の教科書とも言える「神社有職故実」には、欠くことができない神饌として「米・塩・水」があると記されています。
基本的なお供えには、さらに「酒」が加えられることも多いので、この四品について詳しく見てみましょう。
こちらも、それぞれ序列があります。
1.米
稲作を中心としてきた日本では、何よりも大切な品となります。
主食としてはもちろん、米作りを通して「共同体」という概念を培うものとしても重要な意味がありました。
酒や餅といった加工品も神饌として重要な位置にあることから、いかに米が大切にされてきたかうかがい知ることができます。
2.酒
「米・塩・水」といった欠かせない三品を加工し、醸造されたものが酒です。
人の生活に欠かせない品に加えて、加工するという技術も必要とされています。
神社では領田である神田でとれた米を醸造して、特別な酒を準備するほどです。
3.塩
神饌とする塩は、すべての命の源である海からとれた品です。
人が生きていくうえで欠かせない栄養素が含まれていたことから、命を支えるために必要なものとして感謝されてきたのでしょう。
時代によっては貴重品であったことからも、大切にされていたことが分かります。
4.水
水もまた、人の生活には欠かせないものです。
水がなければ3日として命を繋ぐことができません。
また、清めや祓いなどでも水は大事な役割を果たします。
それぞれの品には、人が生きていく上で絶対に必要なものという特徴があります。
大切なものであるからこそ、神様にふさわしい基本のお供えとなっているのでしょう。