神棚の神饌

神様の食事として捧げるお供えですが、準備できる品はいろいろあります。

毎日お供えする基本的な品は、「米・塩・水」の三つです。

私たちの生活にも絶対に欠かせないものばかりですね。

入手も準備も簡単におこなえるもので、長期間の保存がきくという特徴もあります。

また、特別な日などにお供えをする品もあります。

お供え物の種類が多くなると、品目に応じた順位が生じるので、注意が必要です。

特別なお供え

神饌(鯛)基本的な品は「米・塩・水」ですが、この三つ以外のお供えとなると、お酒やお菓子、野菜や果物などが多いようです。

お酒は、日本酒を供えることが多いですが、どのような種類でも問題ありません。

野菜や果物などは、暑い時期には傷むことを避けるために、常温で保存できるものを選びしょう。

毎日準備するには、少し手間が必要となるので、少し特別なできごとがあったときなどのお供えすれば良いでしょう。

珍しい品が手に入ったとき、お客様にいただき物をしたとき、季節の初物が出たときなどです。

お供え品目の順位

神棚にお供えする品目は、地域によって若干違いが出てきます。

地元の産物や歴史的な由来のある品が加わることがあるためです。

こちらでは、一般的にお供えとして選ばれる品目と、その順位についてまとめてみました。

神棚に祀る順序

基本的な品は「米・塩・水」ですが、この他にも海の幸や山の幸、お酒など、私たちも口にすることができるものをお供えします。

毎日お供えするのではなく、祝い事などの特別な日に準備すると良いでしょう。

お祀りするにはそれぞれの順序があるので、気をつけてください。

上位のものからご紹介していきたいと思います。

1.米

神饌(米)和稲(にごしね)とも呼ばれます。

生米や洗米の状態で供えても良いですが、炊いたご飯などを祀ることもできます。

昔は田んぼでとれた米は清潔ではなかったため洗われていましたが、現在は、生米でも清潔な状態に保たれているので心配はありません。

2.稲穂

神饌(稲穂)荒稲(あらしね)とも呼ばれます。

稲穂は五穀豊穣を意味することで知られています。

秋の初めての収穫を捧げる風習からきたもので、神社に納める「御初穂料」の由来ともなっています。

3.酒

神饌(酒)御神酒として使用されるものは、「白酒(しろき)・黒酒(くろき)・濁酒(にごりざけ)・清酒(すみさけ)」の四つに分けることができ、序列があります。

一般的には、清酒に分類される日本酒が使用されることが多いようです。

4.餅

神饌(餅)日本人の生活は、稲作を中心とし米と深い関わりがありました。

そのため、米から作られる品はお供えとしてよく使用されます。

餅もその一つです。

家庭で準備する場合は、大福餅などでも大丈夫です。

5.魚(海魚、川魚)

神饌(鯛)基本的に尾頭付きで供えます。

神社では、海魚は鯛や鮭などが一般的です。

川魚は、鯉や鮎などでしょうか。

貝類を供える場合は、魚に次ぐ順位となります。

6.鳥(野鳥、水鳥)

神饌(鶏卵)神社などでは、昔は野鳥として鶏、水鳥として鴨を祀っていたようです。

現在では、鳥をそのまま準備するのではなく、卵で代用されることが多いようです。

生肉と違って、傷みにくいのでそれに倣うと良いでしょう。

7.海藻類

神饌(ひじき)こちらも生の状態ではなく、乾物の状態でお供えすると良いでしょう。

代表的なものとして昆布、わかめ、ひじきなどがあります。

これらのお供えは「めでたい」という意味をもつものもあります。

8.野菜類

神饌(牛蒡)旬の野菜を準備します。

日本人は古くから根菜をよく口にしてきました。

葉菜でもかまいませんが、根菜の中でもニンニクや玉ねぎなど、匂いが強いものは避けるようにしましょう。

9.果物類(果実)

神饌(橘)こちらも旬のものを準備すれば大丈夫です。

神社では、橘(たちばな)といった柑橘類を準備する場所が多いようです。

現代では蜜柑などでも良いですね。

10.菓子

神饌(団子)日本にお菓子が伝わったのは奈良時代と言われています。

中国から渡った唐菓子(とうがし)は、現在でも神饌菓子として使われることがあるようです。

家庭では、特に縛りはないようですが、団子やせんべいなどは唐菓子をルーツに持つと言われています。

11.塩

神饌(塩)生物が生きていくうえで欠かせないものの一つですね。

時代によっては貴重品でもありました。

神棚へお祀りする塩は、海水から作られた天然の粗塩が使われます。

12.水

神饌(水)こちらも生きていくうえで無くてはならないものです。

家庭でお祀りする場合は、朝一番に蛇口から初水を出して使用すると良いでしょう。

水玉(水器)と呼ばれる専用の器に入れて供えてください。

もちろん天然水やミネラルウォーターでもかまいません。

御神酒の順位

黒酒白酒御神酒として使用されるお酒にも順位があります。

白酒と黒酒は、一般家庭では準備できない品ですが、参考までにご紹介したいと思います。

一般的に白酒黒酒とも呼ばれますが、「黒酒白酒」が正順です。

1.白酒(しろき)

ひな祭りで飲むものとは異なります。

神社の領田である、神田でとれた米を醸造した酒です。

2.黒酒(くろき)

白酒に、木の根を焼いた灰を混ぜたものです。

灰を沈殿させ、うわずみ部分のみ使います。

3.濁酒(にごりざけ)

現在の日本酒の原型でもある、どぶろくのことです。

米を発酵させて、白く濁った酒となります。

4.清酒(すみさけ)

現在で一般的に日本酒とされている酒です。

神棚へのお供えには、日本酒が主に使われます。

お供え物の向き

一部のお供え物は、神棚に祀るときの向きにも注意する必要があります。

魚を供える場合は、海魚であればお腹を神座に向けると良いとされています。

川魚は、お腹は手前に向けます。

また、お頭部分は、神棚から正中線上に置くと良いでしょう。

野菜は、成長していく方向が上位となります。

例えば、大根なら下に向かって伸びるので下が上位、ほうれん草なら上に伸びるので上が上位になるよう供えます。