古い神棚

「神棚を買い換えたいけど古い神棚の処分方法がわからない」

「災害で神棚が破損したけど、どうやって処分したらいいの?」

「やむを得ない事情で、神棚の維持ができなくなった」

こういうケースが、最近よく見られます。

核家族化や住宅事情などによって、神棚の処分をせざるを得なくなったとき、困ってしまうのが「方法」ですね。

まさか、神様にまつわるものを可燃ゴミに出してしまうわけにもいきません。

  • 神様の御霊(みたま)は、どうするのか
  • ご祈祷をした方がいいのか
  • 神棚を粗末に扱ってバチが当たらないか
  • 専門業者などは存在するのか

こんな心配が頭をよぎります。

そもそも、神棚を処分には、どのような決まりごとがあるのでしょうか。

詳しく見ていきたいと思います。

神棚の処分にまつわる決まりごとは?

初詣お正月に神社にお参りし、教会で結婚式を挙げ、お寺の中の墓地で眠りにつく日本人。

外国の方からは、宗教に関しておおらかな民族だと見られているようです。

おおらかさの根本にあると考えられるのが、神道という概念。

神道には、カトリック教会の「聖書」や、イスラム教徒の「コーラン」のように、神様が定めた厳しい戒律があるわけではありません。

なじみの深い仏教でさえも、教えをまとめた経典が揃っています。

神道では、「それぞれの良心に則って、自然に宿る八百万の神様に、恵みへの感謝を表す」ことが、大切だとされているためです。

神様に定められた教えに従うのではなく、良心をもって共存する道を歩むことが、本質なのです。

確かに、現代の日本でさまざまな宗教が吸収され、共存している様子を見ると、よく分かります。

神棚の処分についても、「それぞれの良心」という考えが関わっているためか、共通した方法が記されたものは無いようです。

複数の神社に問い合わせると、さまざまな答えが返ってきました。

これらの答えをまとめていくと、傾向として「ご祈祷する」「御神札を返納する」「お焚きあげをする」という、3つの方法が示されます。

どの方法を選ぶかは、詳しい方法をチェックした後で、自分自身の良心に従いましょう。

ご祈祷をするのは

御祈祷「ご祈祷」をして処分する必要があるという見解の回答がえられた神社の方法はこうです。

神棚そのものにも、神様が宿っていると捉えているため、ご祈祷を行うことで「御霊抜き(みたまぬき)」をするのです。

「長年にわたって見守り続けてくれた神棚を、そのまま捨てるには忍びない」

こう思われる方は、宮司の方に、ご祈祷してもらってはいかがでしょうか。

神社によっては、持ち込みで昇殿祈願してもらう方法に加え、出張での祈願を行っているところもあります。

ご祈祷によって、空となった神棚であれば、処分しやすいのではないでしょうか。

より丁寧に行いたい方は、ご祈祷の後に、お焚きあげをしてくれる神社に依頼することをおすすめします。

お焚きあげとは、神棚やお守りなど粗末に扱えないものを、浄火で燃やすことを意味します。

感謝の気持ちを込めながら、天へとかえす風習です。

お焚きあげをする場合、ガラスや金属部分といった不燃物は、分別が必要な神社もあります。

陶器や神鏡などの神具類も同様です。

事前に、神社の社務所や祈祷受付所などで、次の点を問い合わせておくと安心です。

  • ご祈祷を受け付けているか
  • お焚きあげを行っているか
  • 不燃物の扱いはどうなっているか
  • ご祈祷料はいくらか

お世話になった神棚を、ご祈祷とお焚きあげで、心穏やかに見送りましょう。

御神札を返納するのは

納札所「御神札(ごしんさつ)」の返納で充分という見解の回答がえられた神社の方法はこうです。

神棚へのご祈祷は重要ではないが、中におまつりされている御神札は、神社へ返納する必要があると捉えています。

御神札は、いわば神様の御分霊。

神様の力が宿る、大切なものだからです。

神様の力は、神社にお返しするのが望ましいのでしょう。

「雑に扱いたくないが、ご祈祷するほどでもない」

こう思われる方は、お住まいの地域の神社に、返納してはいかがでしょうか。

だいたいの神社には、御神札の「返納所」が準備されているはずです。

そちらへ返納すれば大丈夫です。

もしも、見当たらなければ、授与所の窓口などで相談してみてください。

返納された御神札は、神社でお焚きあげされます。

時期的には、年末年始などに訪れると良いでしょう。

古札や古い破魔矢、お守りなどを返納する時期だからです。

返納所も目立つように設置されるので、分かりやすいと思います。

御神札を返納した後であれば、神棚を捨てることも可能です。

こちらも、より丁寧に扱いたい場合は、お焚きあげを行ってもらうと良いでしょう。

神棚にまつわる物の中でも、御神札が特に気になる方は、忘れずに返納することをおすすめします。

お焚きあげをするのは

焚き上げ神社によっては、「神棚は神様の住まうお宮であって、神様そのものではないため、そのまま処分しても良い」という見解のところもあります。

そのため、特別にご祈祷などをせずに、ゴミとして処分できるようです。

神棚の周りに置いていた、神具類も同様です。

ですが、心理的に、神様のお宮を捨てることに抵抗がある場合は、お焚きあげを選んでみましょう。

粗末に扱ったと、罪悪感にさいなまれることなく、天におかえしすることができます。

ただし、この場合も、御神札を返納しておくことは忘れないようにしてください。

神様の御分霊なので、丁重に扱いましょう。

この他に、注意しておきたいのは、お焚きあげを引き受けてくれる神社なのか、事前に確認しておくことです。

また、神社としても無料で行うことは難しいため、いくらかの料金を払うことも必要でしょう。

神棚の処分は、「神様はまったく信じていない」という主義の方でも、気持ちの良いものではないかもしれません。

安心して終わらせるために、御神札の返納と、お焚きあげという手段をとってみませんか。

自分に合った方法を選ぶ

神棚の処分をするために、3つの方法のどれを選ぶかは、それぞれの自由ということで良いでしょう。

神道では、厳密な決まりは存在しません。

しかし、処分してしまった後に、「あの方法にすれば良かった・・・」と、後悔することのないようにしましょう。

どちらかというと信心深いタイプだと思われる方は、「ご祈祷」をしてもらうと安心できるでしょう。

それほど信心深いわけではないけれど、何もせずに捨てることはできないというタイプの方は、御神札の「返納」と「お焚きあげ」しておくと、のちに気に病まずにすむのでは?

良心に従って共存する、神道の考えで選んでみてはいかがでしょうか。

手に負えないときは専門業者に

どの方法を選ぶにしても、安置してある神棚を取り外す必要は出てきます。

「外し方が分からない」「大きすぎて運べない」という方や、「自分の手では行いたくない」「恐れ多い」と感じる方もいらっしゃることでしょう。

自分の手に負えないと思った場合は、神棚の引き取り処分を専門とする業者に依頼するのも一つです。

その分の費用は必要となりますが、神棚の撤去や、御神札の返納、お焚きあげの手続きなども請け負ってくれます。

近年では取り外しは自分で行い、郵送してお焚き上げを引き受けてくれる業者が価格も安く、多くの信仰者に好まれています。

神棚の処分はどうしたらいいのか? まとめ

信心深くても、神様を信じていなくても、それでも気が重いのが神棚の処分。

自分自身が気にしていなければ、ゴミとして捨てることも可能ですが、少しでも後悔しそうなら紹介した方法のいずれかを選んでみてください。

自分では難しい場合は、多少の費用はかかりますが、業者の方に依頼すると便利です。

忘れてはいけないのが、御神札の返納です。

神様そのものといって良いので、きちんと神社にお返しにあがりましょう。