家に不幸があると、遺族の方の気持ちだけでなく、神棚のお祀りにも影響します。
悲しみに沈んだ気が、神様にも届いてしまうためです。
悲しみの気が届かないようにするには、「神棚封じ」が必要です。
家の中で不幸があったことをお伝えした後におこないましょう。
神棚の扉を閉めて、宮形の正面に白い半紙をつけることで封印します。
決して画鋲などで穴をあけるようなことはせず、テープなどで優しく隠してください。
封じている間は、お供えや拝礼といった行為も慎み、神棚に触れないようにします。
封印は、遺族の手で行なうよりも、第三者にやってもらうほうが良いと言われています。
しかし、遺族が行なう例も増えてきていますので、その時々の事情に応じて対応すると良いのではないでしょうか。
神棚封じを行なう理由は
神道の考えでは、死は穢れと捉えられます。
この場合の穢れは、生の活力が失われた状態のことを指します。
大事な家族の不幸によって、家の中は「気が枯れた」状態となります。
悲しみによって生の活力が衰えている遺族の方も同様です。
この死の穢れが神様に影響しないよう、神棚封じを行なうのです。
ここで注意しておきたいのは、決して「神罰が下るから近づいてはならない」という意味ではないことです。
あくまで、神様に近づくことで影響が及ばないよう配慮するためのものです。
静かに喪に服し、少しずつ活力を取り戻した後に、再びお祀りするようにしましょう。
神棚封じは身内のどの範囲まで
範囲は、厳密に言えば、同じ家に住む家族かどうかという点で違いが生じてきます。
家族の場合
神様は、神棚を通して祀る家を見守ります。
そのため、同じ家の家族が亡くなった場合は、神棚封じが必要となります。
忌中は触れることを控え、忌が明けたら白紙をはずして、再びお祀りします。
忌中は神域への立ち入りも遠慮した方が良いため、新年の御神札を授かりに神社へ行くことはできません。
一般的には忌明けを待って交換をします。
しかし、御神札を授かることは可能です。
地方によっては、神社に入らずに授けてもらえるところもありますし、お正月の行事などが終わったあとに神社に相談して受けることも可能です。
ただし、すぐに交換はせず、袋にいれたまま保管しておきます。
忌が明けたら、袋から取り出して御神札を取り換えます。
親戚の場合
身内であっても、別の家に住む親戚の場合は、自宅の神棚を封じることはありません。
自宅の神棚は、そのままお祀りし、お供えや拝礼も通常通り行っても大丈夫です。
新年の御神札も、例年通り受けることができます。
しかし、交換をする人に関しては、亡くなった親戚の方と、血縁的に遠い人間が行った方が良いとされています。
いつ封印を解くのか
神棚封じは、忌みが明けるまで続けます。
仏教では四十九日と決められていますが、神道の場合は、五十日間となっています。
忌中は拝礼やお供え、祭事なども行わず、神棚に触れることは控えましょう。
忌明けとなる五十日目を迎えたら、半紙をはずし、宮形の扉を開けて封印を解きましょう。